2014年8月17日日曜日

Journey to Italy 2014 (7): Ascoli Piceno

Ascoli Piceno


「そこへ行ったことはたしかなのに、ある細部、たとえば土地の名前を忘れてしまったために、どこ、と正確にいうことができず、まるで夢で見ただけのような土地がある。」

この忘れがたい美しい一文からはじまる須賀敦子のエッセー、

霧のむこうに住みたい

エッセーによると、ノルチャという聖ベネデットの生まれ故郷の街へバスで行く途中のこと、最後に立ち寄った休憩所の小屋は峠を少し登ったとこにあった。その小屋に数人の羊飼いたちがいて黙りこくってワインを飲んでいた。
そしてその山を下りる時に、

ふりかえると、霧の流れるむこうに石造りの小屋がぽつんと残されている。自分が死んだとき、こんな風景のなかにひとり立っているかもしれない。ふと、そんな気がした。そこで待っていると、だれかが迎えに来てくれる。』

と、ある。

アスコリへのルートをナビに入れた時、途中Norcia(ノルチャ)を通過するということで、あの静かかつ忘れがたいあのエッセーをまた思い出した。
しかもこのあたりの丘陵といい羊の群れといい、慣れたイタリアとはひと味違うシュールリアリスティックな雰囲気がこの須賀さんの一遍「ひとり立っているかもしれない」「だれかが迎えに来てくれる」にまさにピッタリと重なるのだった。
須賀さんによると「ノルチャはイタリア人でもあんまり行かない山の向こう」らしいけど、あの峠の小屋があったのはこの辺かしら、なんて考えてたらジョが唐突に「この辺はイタリア人もあんまり行かないイタリアって言われてるんだよ。」などという。
「このイタリア人もあんまり行かないイタリア」ってイタリア人にとってこの辺りのことを説明する時の常套句なのだろうか。
ちなみにこの辺のアペニン山脈は「イタリアの背骨」と言われている。

『雲が出て、全てを焦がしつくすウンブリアの八月の太陽が光を失いはじめ、霧が視界を遮った。』

8月の熱い太陽は光を失いはじめたが、霧というほどの濃いものは出てこず、須賀さんの「峠」がどこなのかはわからなかったけど、赤茶けた丘陵の遠くに見える群れには興奮した。
ナビで示されていたトンネルはあたしたちが通ったトンネルは須賀さんが行かれた後にできたものらしい。

その山の中を分け入ってトロント川を左に見ながら時には右に見ながらグルグル行って、そのグルグルが終ったころAscoli Piceno(アスコリ・ピチェーノ)の街があった。
太陽の熱はとっくになくイタリアの土のもつ熱さえ失って、かなり肌寒かった。

おじさんたちもどことなく都会っぽい

Piazza del Popolo 


「マルケ州の宝石」と言われるこの街に2泊したんだけど、これと言って見るべきものを特筆するほどではないにもかかわらず絶対に行って欲しい街、に認定したいww
美しい白壁と慎み深く静かな人達はあたしの知ってたイタリアとちょっと違った。
美術館や近代美術館もあるし、有名な劇場Teatro Ventidio Bassoもある。この劇場はピエトロ・ジェルミ監督、ダスティン・ホフマンの映画「Alfredo, Alfredo」が撮影されたことで知られている。ちなみに2009年、ダスティンはマルケ州のコマーシャルにも一役買ったことがある。こちら
これまでの行程が村ばっかりだったので、この小都市での街ライフの2日間はある意味とっても意義あるものだったのよ。
人口5万人しかない街とは思えないぐらい人で賑わっている。
レストランもカフェもジェラートもバーも無数にあるのだった。
5万人なのに人口30万人の我が街よりも、もってる熱量やらVibeが全然違うことに驚愕。
ちなみにアスコリだけではなく、イタリアはどの小都市に行ってもそれなりに活気があってなかなか楽しい感じがするのってあたしだけ?

朝の日課


街の顔であるPiazza del PopoloにあるCafe Melettiには3回も行っちゃったw
このカフェ、イタリアの老舗カフェ150軒に入ってるのが自慢らしいけど、150軒ってどうなん?(爆)そんなこと言わずとも充分に歴史の有り難みが感じられるカフェだった。制服着たパリとかにいそうな「ここで30年やってます」系のウェイターさんがサービスしてくれる。

ローマ時代にアドリア海からローマを結ぶ塩の道「サラリア街道」の要所だったアスコリ・ピチェーノ。食べ物にも凝った塩が使われている。(が、スウェーデンみたいにしょっからくないの)
タリアータ(ステーキ)を頼んだら味付けに塩が5種類ぐらいついて来た。
あたしがこの地で一番好きだった食べ物はカフェ・メレッティのアペリティーボで出たオリヴェ・アラスコラーナ(Olive all'ascolana)というオリーブの肉詰めフライ。
追加してしまったww やめられないとまらない♪
ちなみに名前にもあるアスコラーナ種という大粒のオリーブで作るのがグーなそう。そうじゃないと肉が詰められないし。

Cafe Meletti 
ディナーはこちら(☜クリック)で。
二人で60ユーロだった。
ごめ、値段ばっかり書いて。
でもこの値段スウェーデンでは、
あ・り・え・へ・ん。ありえへ〜ん。(☜クリステル風)



あるパラッツォ(ヴィラ)が売りに出ていたので↑
ここはどういったパラッツォなのか、一体誰が持ちものだったのか街のおばさんらに聞く↓


あたし:「このパラッツォ、ご購入されるおつもり?」
ジョ:「いやいや、口座には30ミリオン(33億円)ぐらいしかないもので。」

みなさん、脳内銀行の口座にはたっぷりとお金が入ってるご様子。

明日はどこへ行こう・・・。
明日のホテルさえ決めていないあたしたち。
ほんと行き当たりばったり。

さて、どうしようか。

するとジョが意味深に
「じゃぁ、あのホテルにでも泊まってみようかなぁ。一人125ユーロとちょっと高いけど、どう?」という。(現実銀行に入ってるお金はカッツカツなのだったw)

「ちょっと高いかもだけど、一生の思い出になるなら。」

・・・・・・それは一生の思い出になるどころか、来世でもきっと覚えていそうな素晴らしい宿泊体験だった。

イタリアの背骨の裏側はなんだかシュールな感じがする


つづく♡

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